おすすめ

【感想】ポケモン・サン(Pokémon Soleil)のフランス語版

最近、ニンテンドー3DSソフトで2016年に発売された、ポケットモンスター・サン(Pokémon Soleil)をフランス語版で遊んだ。ポケモンで遊んだのは約15年ぶりで、本当に楽しかった。ここでは、印象に残ったことを2つ書こうと思う。
※以下、ストーリーへの言及があるため、ネタバレを避けたい方はブラウザバックしていただければ幸いです。

感想① ポケモンの名前の翻訳の質が高い

・ポケモンのフランス語名は本当に良く考えられていて、翻訳担当者(エンディングによればフランス語版の担当者は5人程度だった)の方を尊敬する。
 主人公の最初のパートナーになるポケモンの名前は、特に腑に落ちた。
 例えば、炎タイプのパートナーの名前は、進化するごとに以下のように変わっていく。
  ニャビー (Flamiaou = Flam- 炎 + miaou 猫の鳴き声)
  ↓
  ニャヒート(Matoufeu = Matou 雄猫 + feu 火)
  ↓
  ガオガエン(Félinferno = Félin ネコ科動物 + infern- 地獄の)
3段階全ての名前に、炎タイプであることを示す要素と、猫型であることを示す要素を含んでいる。使っている要素にダブりもない。英語版からアイデアの借用があるのかもしれないことを考慮しても、紛れもなく翻訳のプロの仕事だと思った。

・私がベストのポケモン名を一つ選ぶとすれば、それはウソッキー Simularbre だ。ダジャレ感を移植した最高の翻訳だと思う。

・今作に限った話ではないが、ピチュー Pichu、ピカチュウ Pikachu、ライチュウ Raichu、トゲデマル Togedemaruは、フランス語でも同じ呼び名だった。人気ポケモンに通訳は不要なのかもしれない。

・なお、オーキド博士らしき人物はChenと呼ばれていた。最初はアジア人に皆中国名を与える西洋中心的な態度に憤りを覚えたが、Chen に話しかける度にお小遣いよろしくアイテムをもらっていく内に、ストーリーをクリアする頃にはもう彼を Chen としか見れなくなっていた。

感想② スカル団が何を言っているのかよく分からないが、リズム感がクセになる

Tu connais rien à la frime ! ♪
Ton style est pauvre comme cette rime ! ♪
このように、スカル団のメンバー sbire は、基本的に韻を踏んでくる。♪も原文のまま引用している。

Heureusement pour toi, patate, ♪
t’es tombé sur les rois d’la sape !
一文で最低でも1回はディスるのが、主人公に対する彼ら・彼女らのマナーである。この文では、主人公は芋野郎 patate と言われている。ちなみに、主人公はこのあと1万円ぼったくられることになる。

【備忘メモ】東郷雄二著『フランス文法総まとめ』(白水社)5章・6章

第5章 指示形容詞 所有形容詞 数詞と数量表現

・基数詞の語末に -s がつくかどうか問題
 80 quatre-vingts は、1の位の数字があるときに限り、-sがつかない。
  例)quatre-vingt-deux croissants 82個のクロワッサン
 100 cent は整数倍の時だけ-sがつく。
  例)huit cent yens 800円
 1,000 mille は無変化で、-sはつかない。
  例)cinq mille km 5,000キロメートル
 100万 million、10億 milliard は男性名詞であるため、複数の-sは端数があるときもつける
  例)trois million six cent mille euros 360万ユーロ

・基数詞を名詞の前に置くとき de がはさまるかどうか問題
 100万 million、10億 milliard を端数なしで使うとき、de を使う
  例)deux milliards de personnes 200万人

・集合数詞
 huitaine は8程度という意味の女性名詞で、一週間程度というおおまかな日数を指すときによく使われるとのこと(une huitaine de jours)。huitaineは一度も見たことがなかったが、Twitterで検索してみるとhuitaineは今も使われている。

第6章 疑問文 否定文

・修辞疑問文の例文が格好良い
 DALF C2の筆記試験でこの例文を応用しようと思います。

Y a-t-il une histoire impartiale ?
Faut-il rappeler que nous vivons une époque où la religion a perdu beaucoup de son influence ?

東郷雄二著『フランス文法総まとめ』(白水社)P.48

・「否定文で直接目的語につく不定冠詞がdeに変わる」ルールの例外
 否定の対象が直接目的語ではなく他の要素の時は、不定冠詞のままになるとのこと。実例は今まで何度か目にしたが、理由を真剣に考えたことはなかったので、少し驚きだった。
 以下の例文では、読む行為(lire)が否定されており、目的語(un roman policier)が否定されているわけではないため、de roman policier とはならないとのこと。

Il ne lit pas un roman policier ; il le dévore.

東郷雄二著『フランス文法総まとめ』(白水社)P.49

・jamais は否定の強調ではない
 私は今まで、jamais を「決して」と何となく訳してきたが、今後は、「いかなる時・場合でも~ない」という意味で理解し、場合に応じて正確に訳し分けるようにしたい。著者の説明は非常にピンとくる。

Je ne mange jamais de chocolat.「私はチョコレートを決して食べない」は正しいが、「私はチョコレートをまったく好まない」の意味では×Je n’aime jamais le chocolat.はまちがい。Je n’aime pas du tout le chocolat.とする。

東郷雄二著『フランス文法総まとめ』(白水社)P.51

1回、2回と行為の回数を数えられる類いの動詞が、jamaisとの相性が良いということなのだどう。食べる行為は1回、2回と数えられる。「ある特定の食物を食べる行為」を過去・現在・未来に渡って否定したいときに、jamaisを使える。一方、「ある特定の食物を好む行為」 は、行為の始点と終点がわかりづらく(チョコ好きの人はいつチョコを好きになり始めるのか、決めるのは難しい。初めてパッケージを見たとき?初めて舌の上にのせたとき?人から貰ったチョコを食べたとき?)、jamaisとの相性は悪いのだと理解した。

【備忘メモ】東郷雄二著『フランス文法総まとめ』(白水社)3章・4章

第3章 形容詞

・形容詞の位置の変化と意味のちがい
 形容詞を名詞の前に置くと主観的・評価的意味合いが強くなる、つまり話し手の見方が色濃く表れることは知っていたが、形容詞にもアクセントが置かれることは、初めて知った。
  例)une danseuse excellente(優れたダンサー)
    une excellente danseuse(すばらしいダンサー)
形容詞の位置でもって親密さや前のめりの感覚を出せるのは面白い。個人的には、形容詞をあえて名詞の前に置いている事例は、書評や講演の前口上でよく見る。事務的・機械的な印象を避ける意図があるのだろうと思う。

・再度話題にすると形容詞の位置が変わること
 名詞の後ろに置く形容詞には、他の名詞と区別する意図もある(形容詞の弁別機能)。例えば、上記のune danseuse excellenteは、あまり優れていないダンサーもいることを示唆している。とはいえ、次に言及するときは、cet excellente danseuseとなる。二回目に言及するときは、「優れている」ということは読み手にもう分かっているため、形容詞の弁別機能を使わなくても良く、結果として形容詞は名詞の前に来る、ということのようだ。勉強になった。

第4章 人称代名詞と動詞活用の基本(直説法現在)

・「さす」代名詞と「受ける」代名詞
 1人称と2人称の代名詞は、話して・聞き手、またはそれらを含む人たちを「さす」名詞。一方、3人称の代名詞は、一度話題になった名詞句、または念頭に置いている名詞句を「受ける」代名詞とのこと。以下の表のようにまとめられる。「3人称だけに性の区別があるのは、先行詞の名詞と性の一致が要求されるためである」(P.34)とあるが、正直この箇所の説明はよく分からなかった。同語反復のようにも読める。この箇所は、もう一度時間をおいて読み返してみたい。

代名詞さす/受ける対応する先
1人称・2人称さす使う度変わるもの(話し手/聞き手)と対応する
3人称受ける変わらないもの(既に現れた特定の名詞句)と対応する

【備忘メモ】東郷雄二著『フランス文法総まとめ』(白水社)1章・2章

東郷雄二著『フランス文法総まとめ』(2019年、白水社、以下『総まとめ』)という文法書を読んで新たに学んだこと、学び直したことを、抜粋で、備忘のため書いていく。

第1章 名詞

・名詞の語尾による男性・女性の見分け方
 以下の語尾が一貫して男性形または女性形になることは、初めて知った。
  男性形:-age (例:木の葉 feuillage, 抽選 tirage)
  女性形:-ude (例:高度 altitude)

・名詞の可算・不可算が英語とフランス語で違う場合
 英語の名詞についての可算・不可算の知識が曖昧になっていた。
 <英語で非可算・仏語で可算>
  英語:hair, fruit, information
  仏語:cheveu, fruit, information
 <英語で可算・仏語で非可算>
  英語:grape, sport
  仏語:raisin, sport

第2章 冠詞

・冠詞は聞き手のためにある
 不定冠詞は「不特定」の意味を説明する一節は分かりやすくて驚いた。

ミカンがたくさん入っている箱に手を入れて、ミカンを1つ取り出すのをイメージしていただきたい。取り出す人(話し手)は「このミカンを取ってやろう」と狙って1つを取り出すかもしれないが、そばで見ている人(聞き手)にはどれを取り出そうとしているかはわからない。冠詞は聞き手のためにある。

引用元:『総まとめ』p.19

英作文や英文読解で勉強して以来、「初めて話題になるものには不定冠詞」と覚えてきた。しかし、聞き手にとって初めて話題になるかどうかが重要、と初めて気付いた。

・il y a 構文で出来事を表す名詞が用いられたとき、冠詞は省略される
 これも知らなかった。勉強になる。残念ながら、本の中に省略する理由の説明は見つけられなかった。不定冠詞 (un, une) が付くとil y a の a の音と不定冠詞の u の音が結合して聞き取りづらくなるために、不定冠詞を省くのが好まれるのだろうか。
 例)Est-ce qu’il y a cours demain ? 明日は講義がありますか。

・ペアになった名詞に再び言及するとき、冠詞は省略される
 『総まとめ』の例文では、傘と帽子を別々の日に無くした。警察署で見つけた。という例文が示されている。

冠詞とは関係ないが、村上春樹『海辺のカフカ』の、ホシノ青年が「ほうきちりとり、用意したよ」という台詞を思い出した。これからは、「ほうきちりとり」に冠詞なし、と覚えたい。(つづく)

ニジェールの砂漠を見続けたバイトの話

今回は、フランス語圏つながりで、フランス語圏のアフリカ・ニジェールにまつわるアルバイトの経験談を書こうと思う。ニジェールにまつわる、とは書いたが、学生時代に行った短期バイトの話だ。

そのバイトで私は、ある探検家が十年以上前ニジェールで辿った移動経路の緯度・経度を割り出す作業を担当した。彼が書いたメモの中の風景の記述と、今の衛星画像(Google Map)を照らし合わせて、彼が通った地点の緯度・経度を特定するのだ。

探検家は、目に付いた物事や自分の行動を、ほとんど数分毎に書き付けていた。彼は船に乗って川を遡り、車で国道(ほとんど国道しかないのだが)を通り、たまにある大きな街を歩き回る。移動中、川が蛇行したり、車が三叉路に当たったり、街でモスクを見かけたりすると、必ずメモを残していた。植物や動物(ラクダ)、地形の記述もあった。私は空調の良く効いた部屋で、探検家のマメさに畏怖の念を抱きながら、Google Mapの衛星画像を見て移動経路を特定していった。

おおよそ大変なバイトではなかった。メモは短いが丁寧に書かれていた。道はそう多くなかったし、メモに現れる街の名前もGoogle Mapで検索することができた。

ただ、船での移動を追うのは少し難しかった。私がバイトしていた月はニジェールで乾期に当たり、衛星画像上、川の水を確認できないことがしばしばあった。黄土色の大地に轍(わだち)のような溝を見つけ、探検家はそこを船で移動したと解釈して何とか事なきを得た。

結局、延べ20~30時間程度、ニジェールの乾燥地帯(ほとんど砂漠)の衛星画像を見続けた。バイトを終えた後、探検家が移動していた場所がテネレ砂漠と呼ばれていることを知った。乾燥度合い、面積の広さ、砂丘の高さ等々から、「砂漠の中の砂漠 désert des déserts」と呼ばれているらしい。

【2020年8月23日追記】
2020年8月現在、ニジェール人2名とフランス人(NGO職員)6名の計8名が襲撃された事件により、ニジェールとフランスの関係は微妙になっている。ニジェールは治安が不安定な地域とみられている(外務省の海外安全ホームページはこちら)。情勢が落ち着き、テネレ砂漠を観光客も気軽に訪れることのできる日が早く来るといいなと思う。(以上)

【記事紹介】東京の透明トイレ

今回は、気になったフランス語記事を紹介します。渋谷にできた、壁が透明なガラスになっている公衆トイレの話です。

出典は、Courrier Internationalが2020年8月18日付けで配信した記事(リンク先はこちら)。

画像URL(最終閲覧日2020年8月20日):https://www.courrierinternational.com/article/japon-tokyo-des-toilettes-transparentes-pour-rassurer-les-usagers-sur-leur-proprete#&gid=1&pid=1

この試みは、日本財団の推進する”THE TOKYO TOILET”というプロジェクト(リンク先はこちら)の一環で、建築家の坂茂氏が設計したトイレです。壁が透明なガラスと書きましたが、利用中は、ガラスが曇って外から中が見えなくなります。記事によると、壁をガラスにした理由は二つあり、一つには中がきれいかどうか確かめられるようにするため、もう一つには防犯(待ち伏せ予防)のためだそうです。

利用者の安全・安心を考えて新しい建材を使う工夫は、設計・建設の現場で日々行われていることなのかもしれません。ただ、業界の外の人間にはその工夫を知る機会は少ないため、私はこの記事を読んでとても面白いと思いました。

さらに踏み込んで考えると、そもそも、建物において安全と安心は、しばしば矛盾する要素なのかもしれません。例えば、建物に丈夫さを求め、壁を厚くし、窓を小さくすればするほど、建物の中に何があるのか、中で何が起こっているのか、外からは分からなくなります。こうして、頑丈で安全な建物は、中の様子が分からない、つまり全然安心ではない建物になり得るのです。透明トイレは、安全かつ安心な建物を目指している点で、こうした矛盾に対する一つの回答なのかもしれません。

透明トイレの場所は、代々木公園横の、はるのおがわコミュニティパークです。男性用と女性用は別々で、夜はライトアップされるとのこと。お近くの方、通勤通学で通り道の方はご覧になってみてはいかがでしょうか。<2020年8月20日投稿>

【読み物紹介】法学部生におすすめの仏語リーディング素材3選

Illustration by Stories by Freepik

今回は、第二外国語にフランス語を選択した法学部生(かつて私がそうでした)に向け、初級(入門を一通り終えた)レベルで取り組めるリーディング素材を3つ紹介します!

フランス語の単位は取れたけど、この知識の使い道って一体…と感じている1, 2年+生に、是非知ってほしい内容です。これから紹介する文章は、文法的に難しすぎず、専攻と関連があるものです。読めば、フランス語に慣れるだけではなく、専門科目の理解が深まった!という瞬間がきっと訪れると思います。ちなみに、翻訳が手に入る素材なので、フランス語の知識に少し不安があっても大丈夫です。

専攻/テーマ別に3つ紹介します。

  • 日本法:フランス民法典(契約法)の条文
  • ヨーロッパ政治:欧州議会の広報記事
  • 国際法:国連憲章の条文

日本法:フランス民法典(契約法)の条文

【素材の紹介】
 読解の易しさ  ★★★☆☆
   条件法や関係代名詞節が所々で使われ、読むと文法の復習になる。
 専攻との関連度 ★★★☆☆
   家族法などと比べた場合、内容が日本法と似ている。 

【凡例】
突然ですが、以下の条文を眺めてみましょう。

民法典1130条
L’erreur, le dol et la violence vicient le consentement lorsqu’ils sont de telle nature que, sans eux, l’une des parties n’aurait pas contracté ou aurait contracté à des conditions substantiellement différentes.

民法の予備知識が少しあれば、この文から色々な知識を仕入れることができます。
 ①日本の法律用語とフランス語の対応関係
  erreurは「錯誤」で、dolは「詐欺」だな。partieは「契約当事者」かな…
 ②条件法のもつ「現実とは逆の事態」というニュアンスの具体例
  de telle nature…n’aurait pas contractéは「契約しなかったであろう性質の…」かな…

【素材の入手法】
フランス民法典の条文は、公式サイトLégifranceで手に入ります。

以下のURLに飛び、「Accès direct à un code en vigueur」欄のNom du code(法典名)で、Code civilを選択し、Consulterをクリックすると、最新版が見られます。契約法は第1100条~です。
https://www.legifrance.gouv.fr/initRechCodeArticle.do

以下の文献は、2016年時点のフランス契約法の日本語訳(一部)です。手助けになります。

荻野奈緒・馬場圭太・齋藤由起・山城一真(2017)「フランス債務法改正オルドナンス(二〇一六年二月一〇日のオルドナンス第一三一号)による民法典の改正」同志社法學69巻1号https://doors.doshisha.ac.jp/duar/repository/ir/27137/?lang=0

ヨーロッパ政治:欧州議会の広報記事

【素材の紹介】
 読解の易しさ  ★★★★
   他の統治機関の広報と比べても、必要な文法知識・語彙は少ない。
 専攻との関連度 ★★★
   現在のヨーロッパ政治に関心があるなら良い導入になる。

【凡例】
記事の見出しをいくつか見てみましょう。公衆衛生、財政、外交に関する幅広いテーマが取り上げられています。(2020年7月1日閲覧)

Coronavirus : 10 mesures de l’Union européenne pour lutter contre la pandémie
Budget à long terme : l’UE a besoin d’un financement approprié pour faire face aux crises, selon les députés
Futures relations entre l’UE et le Royaume-Uni: des “règles du jeu équitables” pour garantir une concurrence loyale

この中から、二番目のEU予算に関する記事を見てみると、リード文(見出しの次に来る導入文)は以下の通りです。

Lors d’un débat sur le budget à long terme de l’UE, les députés ont déclaré que l’UE devrait avoir les moyens financiers de surmonter des défis tels que le coronavirus ou la migration.
出典:https://www.europarl.europa.eu/news/fr/headlines/priorities/budget-et-ressources-propres/20200309STO74453/l-ue-a-besoin-d-un-budget-a-long-terme-approprie-pour-faire-face-aux-crises

文の核は、les députés ont déclaré(議員が明言した)です。これに、Lors de~(~の際に)という副詞節と、déclaré que以降の名詞節が付属しています。名詞節の中で、tels que以降は、des défis(困難)の内容を例示しています。

【素材の入手法】
広報記事は、欧州議会の公式サイトで閲覧できます。フランス語特有の表現に立ち止まっても、英語版を見れば打開可能です。英語版で対応する表現を英和辞典で調べることによって、フランス語版の表現の意味を推測しましょう。

フランス語版
 https://www.europarl.europa.eu/news/fr
英語版
 https://www.europarl.europa.eu/news/en

国際法:国連憲章の条文

【素材の紹介】
 読解の難易度  ★★☆☆
   条約ならでは言い回しや表現があるものの、特殊な単語は少ない。
 専攻との関連度 ★★★
   国際機構法や安全保障法では必須の原典。講義でやる前でも、目を通してしまおう!

【凡例】
国連憲章第27条3項(抜粋)を見てみましょう。安全保障理事会の拒否権に言及しています。

Les décisions du Conseil de sécurité sur toutes autres questions sont prises par un vote affirmatif de neuf de ses membres dans lequel sont comprises les voix de tous les membres permanents,…

les voix de tous les membres permanents(常任理事国全ての投票)を含む、vote affirmatif de neuf de ses membres(9理事国の賛成票)が必要、とあります。逆に言えば、常任理事国の賛成票が一つでも欠ければ、décision(議決)が通らないことになります。これが常任理事国に拒否権があると言われる所以です。詳細は、27条全体や前後の条文を読んで、確認してもらえればと思います。

【素材の入手法】
日本語版も以下URLで閲覧できますが、原典はあくまでフランス語版の方です。なので、ある日本語訳(私の上記の訳も含め)を唯一絶対の正解として受け取るのではなく、「自分だったらどう日本語訳しようかな」と考えながら参考にすると良いと思います。
フランス語版(国連公式サイト)
 https://www.un.org/fr/charter-united-nations/index.html
日本語版(国連広報センター)
 https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/

おわりに

今回は、法学部のフランス語初級者向けに、フランス民法典、欧州議会の広報記事、国連憲章の三つをおすすめしてきました。これらの文章を見て、自分でも読めそうだと思った方は、是非リンク先のリーディング素材に当たってもらえればと思います。この記事を読んだあなたが、フランス語をやってよかった、と今後感じる機会が、1回でも増えますように…。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。それでは、また別の記事で。