東郷雄二著『フランス文法総まとめ』(2019年、白水社、以下『総まとめ』)という文法書を読んで新たに学んだこと、学び直したことを、抜粋で、備忘のため書いていく。
第1章 名詞
・名詞の語尾による男性・女性の見分け方
以下の語尾が一貫して男性形または女性形になることは、初めて知った。
男性形:-age (例:木の葉 feuillage, 抽選 tirage)
女性形:-ude (例:高度 altitude)
・名詞の可算・不可算が英語とフランス語で違う場合
英語の名詞についての可算・不可算の知識が曖昧になっていた。
<英語で非可算・仏語で可算>
英語:hair, fruit, information
仏語:cheveu, fruit, information
<英語で可算・仏語で非可算>
英語:grape, sport
仏語:raisin, sport
第2章 冠詞
・冠詞は聞き手のためにある
不定冠詞は「不特定」の意味を説明する一節は分かりやすくて驚いた。
ミカンがたくさん入っている箱に手を入れて、ミカンを1つ取り出すのをイメージしていただきたい。取り出す人(話し手)は「このミカンを取ってやろう」と狙って1つを取り出すかもしれないが、そばで見ている人(聞き手)にはどれを取り出そうとしているかはわからない。冠詞は聞き手のためにある。
引用元:『総まとめ』p.19
英作文や英文読解で勉強して以来、「初めて話題になるものには不定冠詞」と覚えてきた。しかし、聞き手にとって初めて話題になるかどうかが重要、と初めて気付いた。
・il y a 構文で出来事を表す名詞が用いられたとき、冠詞は省略される
これも知らなかった。勉強になる。残念ながら、本の中に省略する理由の説明は見つけられなかった。不定冠詞 (un, une) が付くとil y a の a の音と不定冠詞の u の音が結合して聞き取りづらくなるために、不定冠詞を省くのが好まれるのだろうか。
例)Est-ce qu’il y a cours demain ? 明日は講義がありますか。
・ペアになった名詞に再び言及するとき、冠詞は省略される
『総まとめ』の例文では、傘と帽子を別々の日に無くした。警察署で見つけた。という例文が示されている。
冠詞とは関係ないが、村上春樹『海辺のカフカ』の、ホシノ青年が「ほうきちりとり、用意したよ」という台詞を思い出した。これからは、「ほうきちりとり」に冠詞なし、と覚えたい。(つづく)