【備忘メモ】東郷雄二著『フランス文法総まとめ』(白水社)3章・4章

第3章 形容詞

・形容詞の位置の変化と意味のちがい
 形容詞を名詞の前に置くと主観的・評価的意味合いが強くなる、つまり話し手の見方が色濃く表れることは知っていたが、形容詞にもアクセントが置かれることは、初めて知った。
  例)une danseuse excellente(優れたダンサー)
    une excellente danseuse(すばらしいダンサー)
形容詞の位置でもって親密さや前のめりの感覚を出せるのは面白い。個人的には、形容詞をあえて名詞の前に置いている事例は、書評や講演の前口上でよく見る。事務的・機械的な印象を避ける意図があるのだろうと思う。

・再度話題にすると形容詞の位置が変わること
 名詞の後ろに置く形容詞には、他の名詞と区別する意図もある(形容詞の弁別機能)。例えば、上記のune danseuse excellenteは、あまり優れていないダンサーもいることを示唆している。とはいえ、次に言及するときは、cet excellente danseuseとなる。二回目に言及するときは、「優れている」ということは読み手にもう分かっているため、形容詞の弁別機能を使わなくても良く、結果として形容詞は名詞の前に来る、ということのようだ。勉強になった。

第4章 人称代名詞と動詞活用の基本(直説法現在)

・「さす」代名詞と「受ける」代名詞
 1人称と2人称の代名詞は、話して・聞き手、またはそれらを含む人たちを「さす」名詞。一方、3人称の代名詞は、一度話題になった名詞句、または念頭に置いている名詞句を「受ける」代名詞とのこと。以下の表のようにまとめられる。「3人称だけに性の区別があるのは、先行詞の名詞と性の一致が要求されるためである」(P.34)とあるが、正直この箇所の説明はよく分からなかった。同語反復のようにも読める。この箇所は、もう一度時間をおいて読み返してみたい。

代名詞さす/受ける対応する先
1人称・2人称さす使う度変わるもの(話し手/聞き手)と対応する
3人称受ける変わらないもの(既に現れた特定の名詞句)と対応する

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